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その言葉を使っているのはだれ?SMAP騒動で話題となった嫁ブロックと言う言葉から考えるポジショントーク(岡崎よしひろ 中小企業診断士)

事の真偽は不明ですが、話題となったSMAPの解散騒動で、木村拓哉さんが奥様の助言を受けて事務所残留を決めたと一部では言われています。このことを指して『嫁ブロック』だったのではないかなどと言われています。

明確な定義はありませんが、この『嫁ブロック』と言う言葉は、夫が転職や独立をしようとする際に、妻が反対することによって夫が思いとどまる事を指す言葉のようです。

「妻が反対するので内定を辞退します」-。夫の転職や起業が妻の鶴の一声でご破算になる「嫁ブロック」という言葉が浸透しつつある。
中略
人材派遣大手、インテリジェンス(東京都千代田区)によると、転職希望者数は平成22年1月から今年11月までの間に約3倍に増加している。
中略
妻の反対によって、希望企業への転職活動を断念したり、内定を辞退した人は32%に上り、約3人に1人が嫁ブロックに遭っていることが判明した。
2016年1月1日 産経ニュース

このように『嫁ブロック』という言葉についての報道もされており、市民権を得かけているような印象も受けます。

■反対されるのはあたりまえ
さて、この『嫁ブロック』と言う言葉ですが、どうしてせっかくの新しい挑戦を、よりにもよってパートナーに反対されてしまうのでしょうか?自分の事をわかってくれているパートナーなのだから応援してくれるはずですよね?

しかし、パートナーだからこそ反対するといった側面もあるのです。環境を変えるという事には少なからずリスクがあります。ましてや、生計の手段としている仕事を変えるわけですから、安易な決断をするわけには行きません。

「愛の反対は無関心である」と言う言葉がありますが、転職や独立といった大きな決断を下そうとしている時にパートナーが無関心でいるという事はなかなか考えにくい事です。

そのため、仕事を変えようと考えた場合には、「どうして仕事を変えたいと考えているのか」、「どんな仕事に変えたいと思っているのか」、「仕事を変えた後の展望や収入の見込み」といった事をしっかりと説明してパートナーの了解を取る必要があります。

そして、これらの説明にあやふやな点があれば、さらなる説明を求められるのは当然のことですし、場合によっては、強固な反対にあう事も考えられます。

ほとんどの人は、仕事で重要な利害関係者に満足な説明をせずに意思決定をすることは無いはずです。そして、相手から懸念点を提示されたならば、相手の懸念を取り除くべく誠実に説明をしていくといった仕事のすすめ方をする人が多いと思います。

パートナーの理解を得るための特効薬は残念ながら存在しませんので、最重要の取引先と同様か、それ以上の存在と考えて懸念点を丁寧に説明していく必要があるでしょう。

■この種のブロックは悪いことではない
さて、この『嫁ブロック』と言う言葉ですが、ブロックというぐらいですから使われ方として、なんとなく挑戦を阻む後ろ向きなニュアンスが与えられています。しかし、転職や独立開業が結果として断念されることはそれほど後ろ向きな事なのでしょうか?

もちろん挑戦することは素晴らしいことですが、それと同じぐらい冷静な判断をして思いとどまることもよいことです。

なんといってもパートナーですから、転職や開業をしようと考えている人がその分野に向いているかどうか、周囲の情勢を踏まえたとき、その選択肢は賢明な選択肢なのかを冷静な目で見ている可能性があります。

その場合、転職や開業に心が完全に向いている本人よりも、ある程度冷静な目で見ているパートナーの意見のほうが正しい可能性も十分にあります。

そのため、『ブロック』というよりも、『パートナーの冷静な意見を聞いて考え直した』といったほうが実態を表しているといえるでしょう。また、冷静な意見を聞いて考え直すぐらいですから、たぶんその選択肢は理に適っている可能性が自分一人で判断するのに比べて高いでしょう。

■誰が言っているのか
さて、この『嫁ブロック』という言葉にはどうして後ろ向きなニュアンスが込められているのでしょうか?それは、主にこの言葉は誰が言っているのかを考えると、見えてきます。

この『嫁ブロック』と言う言葉ですが、もともとは企業の採用担当者が使っていた業界用語だったそうです。

「嫁ブロック」はもともと、企業の採用担当者が使っていた業界用語。妻の反対で採用が失敗に終わることを指していたが、ここ数年の転職市場の拡大により、一般にも知られるようになってきた。 2016年1月1日 産経ニュース

このお話でピンと来る人も多いと思いますが、企業の採用担当者は採用するのが仕事の人たちです。せっかく苦労して選考を重ねた人に辞退されるというのは非常に残念な状態ですので、内定を出した人がパートナーの冷静な意見で転職を思いとどまるような状況は、全く歓迎されません。

そのため『嫁ブロック』といった言葉が良いニュアンスで使われるわけがないのです。また、転職や独立を反対された側としても、自分の意思が通らなかったわけですから、面白いわけがありません。

つまり、言っている人の立場を考えれば、『嫁ブロック』なる言葉はよいニュアンスでつかわれることなどほとんどない事がわかるのです。

どのような言葉であっても、誰がどんな意図でつかっているのかを考えてみることが大切なのですね。

中小企業診断士 岡崎よしひろ

こちらは、シェアーズカフェオンラインに寄稿した文章となります。

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