ブログ

ウォークマンの最上位モデルをあえて30万円といった高価格で販売するソニーの戦略とは

ソニーのウォークマンを、利用している(したことがある)人も多いと思います。私自身もノイズキャンセル機能がついている機種を長年愛用いました。地下鉄内で恐ろしく静かに音楽やポッドキャストなどを聞くことができたことを当時感動したのを覚えています。

さて、そんなソニーのウォークマンですが最上位機種の発売が発表されました。

驚くべきはその価格。なんと市場想定価格が30万円とのことです。

ソニーは8日、携帯型音楽プレーヤー「ウォークマン」の最上位モデル「NW-WM1Z」など高音質を追求したオーディオ機器の旗艦モデル4機種を10月29日に発売すると発表した。NW-WM1Zは新開発したフルデジタルアンプなど高音質を追求した結果、市場想定価格が30万円(税別)とウォークマン史上最も高価なモデルとなった。
ウォークマン最上位モデル、日本では10月末に30万円で発売決定 ソニー 産経新聞2016/9/8

報道によると、本製品はウォークマンの最上位機種であり、音質や細部にまで徹底的にこだわるという事です。ウォークマン史上最も高価なモデルという事からも、ソニーの本製品に対する力の入れ具合が伝わってくるようです。

■価格が消費者に与える効果
さて、このように非常にこだわった製品ですが、こだわっているからこそあえて高価格をつけていると考えることができます。

一般的には、高性能・高品質だから30万円という価格になると考える人が多いと思いますが、逆に30万円だから高性能・高品質であると考える人もいます。「良いものだから高い」と考える人もいれば「高いから良いものだ」と考える人もいるという事です。

1本の端子で左右の音声信号の混合を防ぐ業界標準のバランス端子を初めて採用したほか、ヘッドホンの最大出力も大幅に向上。アンプは「ネイティブ再生」機能により、デジタルでありながら自然の音源に近い再生を実現した。

 シャーシも音質にこだわり、抵抗値の低い無酸素銅を削り出して加工。金メッキを施したため、455グラムとずっしりとした重量感だ。
ウォークマン最上位モデル、日本では10月末に30万円で発売決定 ソニー 産経新聞2016/9/8

上記のようにスペックまで含めて報道されていますが、ここから、この製品が30万円に見合う性能を有していると読み取れる人はどれくらいいるでしょうか?

オーディオ機器について詳しい人にとっては、ウォークマンのスペックを見ることで性能・品質を判断する事ができるかもしれませんが、オーディオ機器に疎い人にとっては、機器のスペックで説明されても判断がつかない可能性があります。

そして、スペックからは判断ができないのであれば「30万円もする最上位機種だからいいものなのだろう。」と判断する人も相当数存在すると考えられます。

■逆に極端な低価格を提示した場合
では例えば、このウォークマンが仮に1万円で販売されていたらどうでしょうか?

既にこのウォークマンが30万円で販売されているという事を知っているから、お得だと感じるかもしれませんが、そのような価格についての情報を持っていないとして考えてみてください。

その場合、この製品についてどのように感じるでしょうか?それほど性能も品質も高くないように感じられないでしょうか?

このように、消費者には製品の機能や品質についてあまり正確に判断することができない場合、価格を機能や品質の判断基準にするといった心理があるのです。

そのため、判断している製品自体は同じであっても、その製品の価格によって判断が変わるケースがあるのです。

■この価格を受け入れてもらうための取り組みが企業努力です
消費者は消費者心理として価格によって製品の機能や品質を判断する場合があります。そして、この心理的な傾向を利用して、意図的に高い価格帯をつけるといった価格戦略が存在します。

通常、価格は低ければ低いほど需要が増加しますが、あえて高価格とすることで、消費者の購買意欲を刺激する戦略です

但し、消費者が品質をほとんど判断することができないような商品ならば単純に高価格をつけるだけでこの消費者心理を利用するすることができますが、ウォークマンのように競合する製品が存在している場合、この種の戦略はやみくもに採用することはできません。

なぜかというと、消費者は競合している製品との比較をすることが簡単にできますし、そのことを通じてこの30万円が適正な価格であるかどうかの判断をある程度行うことが可能となるからです。

そのため、競合する製品がある場合にあえて高めの価格設定を行う際は、その価格が適正価格であるといったことを消費者に納得してもらうため、競合にはない価値があったり、卓越した品質を持つ製品であるといった強い根拠を打ち出す必要があるのです。

中小企業診断士 岡崎よしひろ

こちらは、シェアーズカフェオンラインに寄稿した文章となります。

関連記事

  1. 全国学力テストで不適切な試験対策が行われたのは個別の学校の問題で…
  2. 生産性を上げるにはおもてなしスキルの向上ではなく、サービスを最適…
  3. パナソニックは13万円の扇風機を販売するにあたって勝算をもってい…
  4. 働き方のルール違反の解決を経営者や組織がもつ道徳観念に頼ってはな…
  5. 社会福祉法人の内部留保を『活用』させても何も改善しないですよね?…
  6. 子育て世代、事業者といった社会を支える人を狙い撃つ軽減税率に大義…
  7. 適正な在庫水準を保つという商売の基本に忠実なら恵方巻の大量廃棄は…
  8. その言葉を使っているのはだれ?SMAP騒動で話題となった嫁ブロッ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP