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望ましい企業文化に変えるためには、会社のトップが覚悟をもって取り組む必要があります

望ましい企業文化に変えるためには、会社のトップが覚悟をもって取り組む必要があります

旧聞に属しますが、「働き方改革」が叫ばれている中、大手広告代理店である電通が企業文化の一つである鬼十則の社員手帳への掲載取りやめを検討しているという報道がありました。

報道では

女性新入社員の過労自殺問題を受けて、電通は17日、「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並ぶ「鬼十則」という仕事の心構えについて、来年の社員手帳への掲載を見送ることを検討していると明らかにした。
電通「鬼十則」掲載取りやめ 社員手帳から 毎日新聞 2016/11/19

とあり、電通の企業文化を象徴するものとしてにわかに注目を集めている鬼十則の社員手帳への掲載は取りやめを検討していたとのことです。

そして、最終的には

電通は9日、仕事の心構えを示した「鬼十則」を社員手帳から削除すると正式に発表した。「取り組んだら放すな、殺されても放すな」などの言葉が並んでおり、女性新入社員の過労自殺を受け批判が高まっていた。
電通「鬼十則」社員手帳から削除 過労自殺受け正式発表 朝日新聞 2016/12/9

と、掲載取りやめではなく、削除といった強い言葉を使って手帳に載せなかった旨を報道しています。

さて、このような対策ですが社員手帳に特定の文言を掲載しなかったからと言って企業文化が変化するとは考えにくい。企業文化の変革にはもっと抜本的な、トップ自らの強い意志が必要であろうというのが筆者の考えです。

しかし、そんなことは当然わかっていると考えられます。本稿では、あえてなぜ鬼十則の掲載を取りやめるのかについて、目的を考え、そのうえで企業文化の変革に何が必要であるかを改めて考えていきます。

■批判をかわすためではない

まず、単純に批判をかわすためだけに特定の文言を手帳へ掲載しないといった対応であったと考えにくいです。

というのは、そのようなことをしても特に意味がないと考えられるからです。

手帳にその文言が入っていなくとも企業文化が、従業員に対して不適切な長時間労働を求め、またそのような働き方を肯定するようなものであれば、状況は変わらないでしょうし、現にそのような組織文化をとくに明文化していない幾多のブラック企業が存在しています。

また、レピュテーションリスクを避けるためというのも、既に最悪の事態を招いてしまっているので今更感があります。

これらのことから、単に批判をかわすためのポーズとしての対応ならば意味は薄いし、かえって注目を集めるようなことになったので逆効果になった感すらあります。

■企業文化を本当に変えるための取り組みなのか?

それでは、企業文化を本当に変えようとしていて文言の削除を行ったという見方はどうでしょうか?

これも、会社としてのメッセージを打ち出したという事にはなりますが、社員手帳の文言一つで企業文化は変わらないと考えられます。

もし、社員手帳にある特定の文言を入れるだけで企業文化が変わるのなら、『鬼十則』がもてはやされた時代には日本中プチ電通であふれたでしょうし、リッツカールトンの経営理念が話題になったときには、日本中がミニリッツカールトンになっていたことでしょう。

しかし、このようになっていないことは皆様のご承知の通りです。

■もし企業文化を本気で変えたいなら

企業文化として定着させるためにはトップが先頭に立ってメッセージを打ち出し、粘り強く取り組んでいく必要があります。

手帳の文言をはじめとして、ありとあらゆる機会を利用して、『企業の経営理念と合致』した新たに築き上げたい企業文化を発信していくのです。

従来の企業文化と異なる企業文化を作り上げていくわけですから、当然抵抗が生じてきます。

これに対抗するために、現状の問題点を把握し組織内で共有し、企業文化の改革過程に従業員を巻き込んでいく必要があり、また、性急に事を推し進めるのではなく、時間を十分にとって新しい文化を受容するようにしていく必要もあります。

さらに、作り上げたい企業文化に沿った報酬体系や従業員の処遇についても考える必要がありますし、予期せぬ事態が発生した場合には速やかな対応も必要となります。

このように、企業文化を本気で変えようとした場合、多大な努力が必要とされます。そのため、企業文化の変革は企業のトップ自らのリーダーシップで行う必要がある一大事業なのです。

なお、上で『企業の経営理念と合致した』新たに築き上げたい企業文化とあえて断っていることに注意してください。

経営理念とちぐはぐな企業文化を作り上げることは極めてむつかしい取り組みになりますし、仮にうまくいったとしても、その企業が長期的に強みを持って存続できるかどうかは怪しくなってしまいます。

そのため、もし企業文化の変革を望むのならその企業が存続している理由である経営理念に合致した形で企業文化を作り上げていく必要があるのです。

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