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適正な在庫水準を保つという商売の基本に忠実なら恵方巻の大量廃棄は防げる

2月のこの時期になると、節分についてのイベントが世間を賑わせます。スーパーなどの小売店の店頭では、鬼のお面や大豆といった関連商品が所狭しと陳列され、季節感が感じられとても楽しい気分になるイベントです。

さて、そんな節分ですが毎年のように残念な事態が報道されています。また、ひょっとしたら皆様もその光景を目にすることがあるかもしれません。

それは恵方巻の大量廃棄問題です。

まるで海苔巻きというカテゴリーは恵方巻しか存在しないように大量の恵方巻が陳列されているという光景。そして、明らかに販売しきれないであろう量の恵方巻がコンビニなどで陳列されており、節分当日の夜になっても、なお残っているというあの光景です。

毎年毎年大量に食品を廃棄する状況は、考えてみると非常に不快ですし、何のための誰のための行事なのかを疑問に感じてしまいます。

さて、そのような恵方巻の大量仕入れ、大量廃棄ですがどうして発生するのか。そして防ぐ余地はないのかについて少し考えていきたいと思います。

■仕入れすぎるともったいない
まず、たくさん商品を仕入れるという事は、小売店にとってどの様な結果をもたらすのでしょうか?例えば、食品など、あまり日持ちのしないものを仕入れすぎてしまうとどうなるかについて考えてみたいと思います。

この結果は想像がつくと思いますが、販売しきれなかった部分については最終的に廃棄することになってしまいます。

こういったロスを廃棄ロスと言いますが、この種のロスは仕入れた商品が売れないわけですから、とても分かりやすいロスです。

また、仮にすごく日持ちのするモノを安い時にたくさん仕入れたらどうでしょうか?お店は得をしたように感じませんか?

直感に反しますが、こういったケースでも実はあまり得をしませんし、状況によってはむしろ損をします。

どうして得をしないかというと、不要な在庫を持っているという事は、その在庫を保管するための管理コストが発生するためです。

大きな企業では多量の商品が日々動きますので、少しでも在庫水準が増えると全体としては莫大な量になります。

すると、その在庫を抱えておくために新しい倉庫を用意しないといけないかもしれませんし、その在庫を管理するための管理コストも馬鹿になりません。

そのため、その在庫を持っていなかったら必要では無かった保管のための管理コストが発生してしまうのです。

それに何よりも、在庫というのは商売に使うお金が形を変えているものですから、そのお金を眠らせる事につながってしまいます。その結果、一般的には借入金利といった資金の調達コストまでかかることになってしまうのです。

このように、在庫をたくさん抱えることは、企業にとってはとてももったいない行為なのです。

■必要な量を仕入れなくてももったいない
では、仕入れる量を絞って、早々と売り切れるくらいしか仕入れなかったらどうでしょうか?

この場合は、目に見えないロスが発生します。小売業で働いたことがある人は聞いたことがあるかもしれませんが、機会ロス、チャンスロスといったロスが発生するのです。

この種のロスは、目には見えません。しかし、とてももったいないのです。というのは、お客様が買いに来たにも関わらずかかわらず商品が存在しないといった状況になってしまうためです。

逆に言うと、商品がありさえすれば売れていたという事ができます。ということは、その商品が売れたら発生したであろう売上高がそのままロスになるのです。

また、お客様はその商品を欲しいと思って来店しています。そして、欠品しているという事はその期待を裏切ってしまうことに他なりません。そのため、必要な量を仕入れていないと、あのお店は品ぞろえが悪いといった評判が生じてしまい、客足が遠のいてしまうといったことすら発生してしまうのです。

■どれくらいの仕入れが一番望ましいのか
これらのことから、一番望ましい仕入れの量は、一般的に売れる分だけを過不足なく仕入れるといった形なります。

もちろん、完璧な需要予測は不可能ですから、ちょっと売れ残るくらい仕入れる。売れ残りを防ぐため、値引きをしてでも売り切るといったのが現実的な線となるでしょう。

■コンビニは在庫管理のプロです
さて、そんな在庫管理ですが、コンビニエンスストアはプロ中のプロなので、非常に高度な在庫管理のノウハウを持っています。

そのため、非常にマイナーな商品であっても、ほとんど欠品していることはありませんし、逆に何かの商品が明らかに大量に売れ残っているという事もほとんどありません。

では、どうして恵方巻はあのような大量廃棄といった残念な事を毎年繰り返すのでしょうか?

ここに興味深い統計があります。

平成26年の2月について、「すし(弁当)」への1世帯当たりの日別の支出金額を見てみると、節分の日に当たる3日の支出が419円と圧倒的に多く、2月の支出(1,186円)の3分の1以上を占めています。この結果を見ると、節分の日に恵方巻を食べるという風習が家計調査の結果にもしっかり出ていることが分かります
出典:総務省統計局 家計調査通信第492号

この統計のとおり、恵方巻自体は定着してきていると考えることができますが、1世帯当たりの支出単価を見てみると、1世帯当たりでは恵方巻1本分ぐらいしか消費されていないことが分かります。

当然コンビニはこういったデータは持っていますし、各店舗の商圏に消費者が何世帯住んでいるかも、把握しているはずです。

という事は、その店舗で恵方巻が最大限売り上げた場合の数量も把握できるはずなのです。

今年の節分は、そういった知見を活かして恵方巻の大量廃棄といった光景が繰り返されない事が望まれます。

中小企業診断士 岡崎よしひろ

こちらは、シェアーズカフェオンラインに寄稿した文章となります。

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