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採用難の時代、人材不足へ対応するためには技術の活用が不可欠です

昨今、採用難が叫ばれています。中小企業白書によると人材不足はかなり深刻な状況です。

白書では、専門性の高さなどから高度な業務を担う「中核人材」と、比較的定型的な業務を担う「労働人材」に分けて調べた。回答した約3千社のうち、中核人材については48・2%、労働人材は52・6%が「不足」とした。「過剰」と答えたのは、それぞれ1・5%、2・6%にとどまった。
中小企業の半分「人材不足」 商機生かせない懸念 朝日新聞 2017/4/21

今後、我が国では働き手である生産年齢の人口が今後しばらくは減少を続ける見込みです。

また、内閣府平成29年第1回経済財政諮問会議資料によると仮に女性や高齢者の労働参加が進展しても2030年までに就業者数も減少する見込みであると言われています。

このように、人材不足が抜本的に解決する見込みはありません。

しかし、人が採用できないからと言ってあきらめてしまうわけにはいきません。本稿では今までのやり方では人材採用が難しいという前提に立ち、どうしたら良いかについて考えていきたいと思います。

■人材不足を解消するには
人材不足を解消するためには、いくつかのアプローチがあります。

一番素朴な方法は、人をどうにかして雇う方法です。答えになっていないかもしれませんが、人材不足と言っても人材枯渇ではないため競合他社等(人材採用の場合、自分の業界以外の企業や組織も競合となります)よりも、魅力的な条件・待遇を用意できれば人材の確保は可能です。

言い換えれば、他社よりも職場の雰囲気が良くお給料が高く福利厚生が手厚いなど、一般的に言って人が働きたいと思えるような組織にするといった事ができれば人材採用マーケットで勝ち抜いていくことができるでしょう。

ただ、それができないから人材確保に苦労している中小企業が多いのです。現状、できないわけですからその事実を認めて、別の方法を考えていく必要があります。

別のアプローチとして人手がかかる作業量自体を削減するといった方法も考えられます。

仕事を進めるために人が関与する量を減らせば、新規で人材を採用する必要性が薄くなってきます。その結果、既存の人員で何とか組織を運営することができるようになれば、当面の採用についての悩みはなくなりますし、人を採用する際も、必要とされる採用人数が少なくなりますので人材確保の悩みを軽減することができます。

それでは、どのようにして人手がかかる作業量を削減していけばよいのでしょうか?

■そもそもの仕事量を削減するためには
生産性を改善する方法には様々ありますが、製造業で用いられることが多い方法としてECRSといった指針があります。

これはそれぞれの活動の頭文字を取った言葉で、E(Eliminate)は排除、C(Combine)は結合、R(Rearrange)は交換・順番の変更、S(Simplify)は単純化を意味します。

また、ECRSは、この順番に沿って考えていくとよいとされています。

例えば、無駄な作業はE:排除することが一番効果的ですし、排除できない作業についてはC:結合を考えて、何かと一緒にできないか、R:交換・順番の変更を考えて、もっと良い順番はないか、S:単純化として、もっと簡単にできないかを考えていきます。

始めた当時はとても有意義であったけれども、今となってはどうしてその手順を踏んでいるのかわからないといった作業はE:排除してしまうのが効果的ですし、いろいろな人やいろいろな時に都度行っている作業はC:結合してしまってまとめてどこかで対応してしまうのが効果的です。

このように、まずは不要であったり無駄であったりする作業について見直し、仕事を最適化することで、そもそもの仕事量を減らすことができれば人材不足の悩みを軽減することができます。

この方法は、お金がかからない方法ですので、人材確保を考えた時にまず試してみることをお勧めします。

しかし、どんなに考えても無くせないし、効率化しても手間がかかるといった仕事が多いのも事実です。その場合は新しい技術を活用して仕事量を圧縮することを考えていきましょう。

■仕事量の圧縮のための技術はいろいろある
新しい技術の活用で仕事量を圧縮するというと、大規模な機械を入れて抜本的に労働生産性を改善する。大規模な機械を導入し製造ラインを動かす。また、設計データを入力することで自動で物を製造する、重機を導入して作業効率を向上させるといったような方法や、システム投資を行って定型的な処理を自動化させるといった方法ある程度大掛かりな方法が考えられます。

但し、こういった大規模な設備やシステムの導入には大きなコストがかかりますし、また、特にシステム投資については、定型的でない業務についてはなかなか威力を発揮しにくいといった問題点があります。

しかし、現在ではデータ入力の自動化やチェック機能といった、手間はかかっているけどなかなか機械化が困難であった分野を機械化することができる技術が生まれています。

人材派遣会社やIT(情報技術)会社がデータ入力など単純作業をロボットで自動化するサービスを拡大する。「仮想ロボット」などと呼ばれる新技術で、業務の効率化だけでなく、人的ミスの防止や監視の目が届きにくい海外子会社の不正防止にも活用できる。
仮想ロボに事務お任せ テンプHDやNEC系 データ入力を自動化 人手不足に対応 日本経済新聞 2017/6/28

こういった技術を使えば、そこまで大きな投資をしなくても仕事量を減らすことができる可能性があります。

また、非定型の業務であってもAIを活用することで対応が可能になるケースも増えてきています。

訪問歯科診療支援を手がけるデンタルサポート(千葉市)は人工知能(AI)を活用し、義歯などの歯科技工物を自動設計するプログラムを開発した。歯科技工士が設計する場合に比べ大幅に作業時間を減らせるのが特徴。
義歯のデザイン AIにおまかせ デンタルサポート、作業時間を大幅に短縮 今秋の実用化目指す 日本経済新聞 2017/6/28

例として挙げたのは義歯のデザインですが、このような人の手を介さないとできなかった仕事もどんどん自動化することができるようなってきています。

導入には冷静な判断が必要ですが、削減できるコストと導入コストを勘案して投資が回収できるようであればこういった最新技術を導入することで競合に大きな差をつけることができる可能性があるのです。

■機械化で生産性を上がれば人材確保にもプラスに働く
このような、人手がかかる作業量自体を削減することは、人材確保を容易にする要素ともなります。

というのは、従来と同じ付加価値を従来よりも少ない人員で生み出せば労働生産性は向上しますし、一般的に言って何かの設備やシステムを導入を検討する際は、その導入コストと導入しなかった場合に発生するコストを比較して、導入した場合の方が経済的に有利であるために導入することとなります。

そのことから、労働生産性の向上により人件費や福利厚生に回す原資が生み出されることとなります。

そして、その原資を働く人の待遇改善等に振り向ければ競合他社と比較して人材の確保も容易となるのです。

中小企業診断士 岡崎よしひろ

こちらは、シェアーズカフェオンラインに寄稿した文章となります。

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