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パナソニックは13万円の扇風機を販売するにあたって勝算をもっているのか

夏といえばエアコンですが、最近では省エネへの関心から扇風機が再び脚光を浴びているようです。

そんな中ユニークな製品がパナソニックから発売されるようです。

パナソニックは29日、市場想定価格が税込み13万円前後の超高級扇風機「リント」を5月20日に発売すると発表した。支柱に高級木材を使用し、木目を生かすなどデザインを重視。同社の扇風機では過去最高価格で、担当者は「従来とは違う価値を提案したい」と新市場の開拓に意気込んでいる。 超高級扇風機5月20日発売 13万円前後 毎日新聞 2017/3/29

超高級扇風機ということで、素材にこだわりデザインも重視しているようです。ただ、13万円の扇風機は相場からするととても高く感じます。

こういった商品を販売する意図はどこにあるのでしょうか?すこし考えていきたいと思います。
■あえて高額にしている?
この商品のニュースに接してみて一番関心を引くのがその価格です。扇風機が13万円というのは一般的な感覚だと相当高額だと思います。

では、なぜそんな高額な商品をあえて作るのか。いいものを安くというのが理想、ですよね?

でもマーケティング上、あえて高額にするというのも一つの考えかたなのです。

というのは、私たちは「よいものは高い」といったように考える傾向があるからです。そして、この「よいものは高い」といった考え方は広く浸透していますので、逆に「高いものにはそれだけの価値がある」と考える傾向もあるのです。

例えば、50万円の宝石と80万円の宝石、100万円の宝石があったら100万円の宝石が一番質がよさそうだと感じますよね?

そういった心理的な傾向が私たちにはあるのです。

■品質を判断できる商品では

こういったあえて高額にするといった価格設定を行うような商品は宝石や貴金属などが代表例としてがあげられますが、本商品もそのような価格設定をしていると考えられます。

もちろん、このような効果を狙ったとしてもただ単に高い価格をつければいいというものではありません。

商品にそれだけの価値がなければただ割高感が生じるだけだからです。そのため、高価で上質な素材を使い、あえて手間のかかる加工方法を用いていると考えられるのです。

但し、宝石や貴金属ならば一般人には品質の判断が付きにくいため、高価格をあえてつけることで高品質であるといったメッセージを打ち出すことができます。

しかし、本商品のような扇風機といった万人がある程度の品質を判断できるような商品では、あまりこの種の価格政策は効果が薄いと考えられます。

そのため、商品の価値を訴求するためには素材やデザインだけではなく、扇風機としてどう優れているのかまで謳っていく必要があるでしょう。

■量販店で販売する?
また、報道にはもう一つ気になった点があります。それは量販店や百貨店の外商部門で販売するといった点です。

量販店や百貨店の外商部門で販売するほか、PRのために高級旅館や料亭に置いてもらい、富裕層を中心に年間約7000台の販売を目指す。 超高級扇風機5月20日発売 13万円前後 毎日新聞 2017/3/29

報道の中で販売ルートとして挙げている百貨店の外商部門で販売というのは、本商品のコンセプトに沿っていると考えられます。

しかし、量販店での販売についてはどの価格帯の量販店で販売するかにもよるので一概には言えないのですが、高価格帯をわざわざ打ち出しているといったコンセプトとは合致していないように考えられます。

一般的には量販店は良いものを安くといった訴求方法になりますので、高価格帯の商品をしっかりと売っていくといった百貨店等が得意とする販売方法とは逆であると考えられます。

せっかくの高級な扇風機といったコンセプトの商品なのですから、販売するルートも高級品を扱うところを中心に販売した方が望ましいと考えられます。

もちろん、明確な意図があって量販店でも販売したいということであれば一つの戦略です。

しかし仮に量販店でも売った方が、販売数量が増えそうだといった発想だとしたら、商品のコンセプトと販売方法がちぐはぐである様な印象を受けます。

■他社でも高価格帯を売っているが
以前ソニーが30万円のウォークマンを販売したとして話題になりました。ソニーの場合は細かいスペックまで含めて報道されており、またウォークマン自体がソニーを代表する製品であることから、競合と十分に差別化できていたと考えられます。

しかし、扇風機は非常にコモディティ化した商品であり、ありふれた一般的な商品です。また、一般的には扇風機はパナソニックの看板商品であるとは認識されていないのでパナソニックの開発した最上位モデルの扇風機と言われただけでは特に購買意欲を刺激しません。

そのため、価格と素材、デザインだけで十分に差別化できるかどうかは少し難しいと考えられます。

もちろん、報道されていること以外にもいろいろな仕掛けがあると考えられますし、消費者の声なども当然調査して開発しているわけですから実は大きなニーズがあるのかもしれません。現に、ニュースで取り上げられているということは、関心を持つ人がいるということですから。

いずれにしても、この商品はとても気になります。実際に商品を見ていないのでこれ以上のことは分かりませんがプレスリリースを見る限りでは扇風機としての機能を打ち出すよりも素材の良さや加工の丁寧さなどを打ち出しているようです。

今後この商品をどのように販売していくのか。関心をもって追いかけていきたいと思います。

中小企業診断士 岡崎よしひろ

こちらは、シェアーズカフェオンラインに寄稿した文章となります。

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