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買い物弱者という大きな問題を解決するために既にある地域の資源を活用する。兵庫県養父市の取り組み

地方では、最寄りのスーパーまで10キロ以上離れていて、近くの小規模なお店まで行くのも数キロ離れているなんていう集落が結構あります。集落の人が若いころはみんな運転ができていたため特に問題がなかった、集落内に小規模な小売店があったため特に問題がなかったのですが、少子高齢化が進む中で、運転をすることが難しくなったり、集落内にあった小委規模な小売店が廃業してしまい、買い物をする場所がなくなってしまったといったケースです。

これを捉えて、買い物弱者対策としていろいろな地方の行政が、移動販売車を出したり、バスを運行したり、民間企業に対策をしてもらうための補助金を検討したりと色々な対策を検討しているのですが、どの地域も苦戦しているようです。

というのは、商圏内の住民が少なく、購買力も乏しいため民間企業が進出してこない地域に対して実施する事業なので、どうしても民間企業の投資を呼び込むことが難しいためです。こういった対策は経済政策として考えられているので、どの行政機関も予算が乏しく(経済政策の場合、事業者の自助努力が基本なのであまり潤沢に補助金等を準備している行政機関はありません)、数十万円の予算をつけて対策を研究するといった形をとるのが限界になっています。

もちろん、地方の行政機関の方は極めて優秀な方が多いですし、献身的に地域の問題に取り組んでらっしゃいますが、ヒト・モノ・カネの経営資源がすべて不足している中ではあまり効果的な対策を打ち出すのは難しいと考えられます。

そのため、経済政策として乏しい予算で実施するのは困難で、福祉として当面は対応し、その後は地域全体としてのまちづくりとして対応する必要があるのではないかと考えています。

さて、そのような状況ですが、一つの画期的な取り組みが兵庫県養父市で行われようとしています。

交通手段が少なく、観光客や住民が効率よく移動できなかった兵庫県養父(やぶ)市は、自家用車(白ナンバー車)を使って有料で人を運べる事業を導入する。

中略

計画によると、改正国家戦略特区法に基づき、これまで交通事情が悪かった市内の大屋地域と関宮地域の山間部が対象。タクシーやバスの事業者が中心となってNPO法人をつくり、地域で登録ドライバーを確保し、客を結びつける。

自家用車をタクシー代わりに 兵庫県養父市が特区提案 朝日新聞 2017/12/13

ここでのポイントは、地域には依然として運転できる人がいるという事実です。これはどの地域でも比較的若い方は運転できるので、地域の高齢の方をお手伝いすることは可能です。また、記事では触れていませんが、おそらく、運転をしてくれた方には謝金が支払われるのでしょう。

とすると、地域の若い方にとっては、副収入を獲得することが可能となります。そのため、地域にある資源と需要を結び付けたアイディアであると考えることができます。

しかし、白ナンバーで営業を行う、いわゆる白タクは違法行為であり、業としてタクシー業を営むためには許認可が必要です。(かなり厳格な要件があるので副業でちょっとというのは事実上不可能です。)また、個人の方が受注を継続的に確保するのは難しい事や、トラブルが発生したときの解決方法まで考えると、何らかの枠組みがないとこのような事業を営むのは難しくなります。さらに、地域では適正に許認可を取り営業をしている事業者がいるわけですから、その人たちにも配慮をしないといけません。

そのため、今回の記事のようにNPO法人を作ってそこを受け皿にするといった事が考えられたのでしょう。

この方式であれば、地域の特に採算確保が難しい場所は一般の方にお願いし、市街地は民間業者が運航するといった住み分けもできそうですし非常に優れた方式であると考えられます。

地域の買い物が困難な方は、足が確保できますし、地域の一般の方は副収入の道が開けます。そのうえ、一般事業者が中心となったNPO法人が受け皿になるのでトラブル発生時の解決ノウハウなども提供されると考えられるため、安心感が生じます。

また、一般事業者の方は収益性の比較的良い市街地へ注力することができますし、行政機関は買い物弱者対策という大きな課題への対応が(低予算で)できます。

「地域の人に買い物に困難を感じている人を支援してもらえばいい」といった事は多くの人が考えると思います。しかし、そのアイディアを適法に運営できるような形にした兵庫県養父市の取り組みは素晴らしいと感じます。

 

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