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起業の選択肢として第三者の事業を引き継ぐの事が当たり前になれば、みんなが得をします

大廃業時代がやってくる。そんな衝撃的な言葉が新聞記事に掲載されていました。

2025年に6割以上の経営者が70歳を超えるが、経済産業省の分析では現状で中小127万社で後継者不在の状態にある。優良技術の伝承へ事業承継を急がないと、日本の産業基盤は劣化する。「大廃業時代」を防ぐ手立てはあるか。
大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万社  2017/10/6 日本経済新聞 電子版

このような記事を見ると「中小企業で儲かっていなければ、無理に事業を続ける人は少ないよね」といった感想を持つ人が多いと思います。

しかし、問題は「後継者不在」であって決して「赤字」ではないのです。

■赤字だから廃業するわけではないが黒字だから続くわけでもない
一般的には企業が廃業するのは赤字が続いたり、突発的な原因で資金繰りがつかなくなったからであり、いわゆる倒産とほぼ同じだと思われています。

しかし、実際にはいわゆる倒産と休廃業・解散は分けて統計が取られています。そして直感に反するかもしれませんが、倒産数よりも休廃業・解散数の方が数倍多いのです。

2016年版中小企業白書によると2016年の倒産企業数は8,446社。これに対して休廃業・解散企業数は29,583社であると調査結果が出ており、どうやら赤字だけが原因で企業がなくなっているわけではなさそうです。

また、休廃業・解散企業の売上高経常利益率の統計も出ており、50.5%の企業が赤字ではなく利益を出しています。このように、赤字だから廃業するといった事は当てはまらないのです。

と、このように言うと、「せっかく黒字なのに無くしてしまうのは勿体ない」と感じる方も多いと思います。

しかし、黒字だからこそ廃業という選択肢が採れるといった面は見逃してはなりません。黒字でしっかりと自己資本が残っている内に廃業という選択肢を採れば、取引先にも迷惑を掛けずに済みますし、従業員にも退職金を支払ったり、経営者本人のその後の生活も安泰となるといった面があるのです。

これが赤字が続いて事業が立ちいかなくなった後では、取引先にも迷惑が掛かりますし、従業員にも退職金を払うことができません。また、経営者本人のその後の生活も困難になりがちです。

そのため、廃業するならば黒字の内にというのも現実的な考えなのです。

しかしそうはいっても、地域社会にとって一つの企業がなくなるという事は大きな問題です。そのため、もしうまく事業を引き継ぐことができる人材がいれば、それに越したことはありません。

取引先も取引を継続することができ、経営者も事業から手を引くことができ、従業員の雇用も守られる。また、地域社会の一員として経済活動を回し続けることができるわけですから。

■親族が継いでくれないときには
従来は、経営者の親族が事業の跡継ぎを担うケースが多くありました。そのため、事業の引継ぎというと基本的には息子さんや娘さんといった親族が後を継ぐといった事が思い浮かぶ人が多いと思います。

しかし、親族が事業承継を行うといった比率は一貫して下がっており、2012年時点で企業の内部昇格で後継者を決めるケースと親族への事業承継はほぼ同率となっています。そして、外部の第三者に経営を引き継いでもらうケースや企業買収を合わせると、何らかの形で親族外の人間が事業を引き継ぐケースの方が多くなっているのです。

そして、このような傾向が続いている結果、経営者の意識も変わってきており、中小企業白書によると、実際に経営者へ対して行われたある意識調査では中規模企業の38.1%が社外の第三者に事業承継を検討してもいいと答えています。

但し、親族外に事業を引き継ぐと言っても適任者が見つからないとどうにもなりません。企業内部に適切な人材がいるような恵まれたケース以外では、やはり誰か経営を引き継いでくれる人をどこかから探してくる必要があるのです。

そのようなニーズがあるため、現在では、第三者への事業引継ぎとして、ある程度の規模の企業であれば民間のM&A会社を経由して事業を売却するといった方法や、そうでない企業であっても公的な機関が担っている『事業引継ぎ支援センター』『後継者人材バンク』といった機関を利用することができるようになっています。

■起業志望の人はチャンスが訪れる
このような流れは、起業を考えてらっしゃる方にとっては、追い風になります。特に事業引継ぎセンター内に設置されている後継者人材バンクを利用すれば、顧客や取引先といった貴重な資産を引き継いで事業をスタートすることができる可能性が出てきます。

起業にあたってはいろいろ大変なことがあります。もちろん顧客をゼロから開拓することも大変ですが、それ以上に仕入れ先の開拓など事業の仕組みを作ることが大変です。

そして事業を引き継ぐという事はこれらの仕組みも一緒に引き継ぐことができるという事ですから、相当有利なスタートを切ることが可能となります。

もちろん、親族であっても事業の引継ぎには苦労が多い中、親族外での事業承継には相当な苦労が伴うことが想定されます。

しかし、これから大廃業時代を本格的に迎える前に、このような起業の方法が一般的になれば、起業を考えている人にも、廃業を考えている人にも、地域に住んでいる人にとっても好ましいことだと考えられます。

;中小企業診断士 岡崎よしひろ

こちらは、シェアーズカフェオンラインに寄稿した文章となります。

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