保証人にはなるなと良く言われますが、何がいけないのかを解説します

「親や兄弟でも保証人にはなるな」こんなことを年長者から聞いたことはないでしょうか?

これから開業するあなたは様々な面で今までよりも濃密な人間関係を構築することが求められます。

その中でひょっとしたら「保証人になってほしい」と依頼される可能性がありますので、あらかじめ保証人の何がいけないのかを知っておいてください。

■現代の人質制度

さて、『保証人とは現代の人質制度』です。あえて強い言葉を使いますが、保証人になるというのは、あなたが保証人になってあげる人の人質になるという事を意味します。

本当にあなたは保証人になる事を要請してきた人に対してそこまで恩義を感じていますか?もう一度胸に手を当てて考えてみてください。

■どうして人質なんて言葉を使うの?

保証人を人質とまで表現したのには訳があります。というのは、あなたも親戚縁者に訊いてみればこの保証人になったことで人生に大きな問題が生じた人が身近にいるはずです。

普通に生活をしていれば、よっぽど浪費をしたり事故などに遭ったりしなければあり得ないような経済的な困窮に陥る可能性がこの保証人制度にはあるのです。

というのは、普通に生活している人が自分が借りたわけではない数千万の負債をいきなり負って、それを返していくなんてことは保証人になってその債務を弁済する事以外にはあり得ないのです。

■そもそも返せますか?

例えば2千万円を10年で返済すると約束した場合、月々元本だけで16万円ほど支払う必要があります。

基本的に今の生活に加えて16万円の返済を毎月行うなんてことは普通の人には過大な負担になります。

商売をやる人なら粗利から支払わなければなりませんので毎月16万円をねん出するためには30%の粗利がある商売を営んでいるとすると

16万円÷30%=53.33

となるので、少なくとも53万円ほどの追加の売上が必要です。年間に直すと636万円の売上増が必要になるという事で大抵の商売をしている人にとってこの売上増加は非現実的なものとなっています。(売上が増えれば支払う消費税も増えますし本当はもっと大変です。)

そして、事業資金の保証人になるのなら、2千万円よりももっと多い保証を求められる可能性も高いのです。(大きな会社になるとそれこそ億の資金を借りたりしますからね。)

■求められる保証契約は

このように、保証した相手が返済できなくなった場合には、あなたがその借金を返済する為には絶望的な努力を求められる保証人です。

そのうえ、通常求められる保証契約は極めて理不尽に感じるような契約になります。

例えば、借りている人が明らかにお金を持っているとします。当然あなたは「先にあの人の財産から取り立ててくれ!」と言うと思いますがこのような主張は認められません。

また、いきなり債権者がお金を借りている人ではなくあなたに「借金を返せ」と言ってきても対抗するすべがないのです。

このような理不尽な状況を専門用語で言うと『検索の抗弁権が無い』『催告の抗弁権が無い』と表現するのですが、そのような言葉はどうでもよくて『貸してがあなたにお金を返してくださいと言うのなら、あなたが保証人になった人の状況がどうであれ、あなたがお金を返さなければならない』というのが保証人なのです。

(こういった保証を連帯保証と言いますが、求められる保証はほとんどこの連帯保証です。)

■根保証だけはダメ絶対

そしてさらに悪い事に『根保証』という制度もあります。

これは「継続的に取引をするんだから何度も保証人のハンコをもらうのは大変だよね」といった感じの制度ですが、この制度には極度額というなんだか恐ろしげなものがあります。

極度額とは保証する金額の事で、例えばあなたが100万円の債務を保証したつもりでいても、根保証契約で極度額が1億円であれば1億円の債務保証をしたことになるのです。

どういう事かというと、100万円の保証人になったつもりで契約書に印鑑を押したとしても、その契約が根保証契約で極度額が1億円であれば、あなたが保証した債務の額は1億円なのです。

うーん、書いていてムカムカする制度ですが、社長が自分の会社の債務保証をするときなどには便利な制度なので(有限責任制度は我が国では有名無実になっています)良く利用される制度なのです。

■本当にそこまでの恩義がありますか

と、このような怖い保証人契約です。親族ならいざ知らず、仕事上の付き合いがある人に「形だけだから」などと頼まれても受けるべきではないという事がご理解いただけたと思います。

もちろん、そのリスクを知ったうえで引き受けるのはあなたの判断ですが、保証人を引き受けるのなら、いざとなったらあなたが返済することまで織り込んでおく必要があります。

とくに根保証の場合は、極度額まで返済する覚悟をあらかじめ持っておく必要がありますので、決して安易な気持ちで引き受けないようにしてください。

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