個人で開業?法人で開業?それぞれ長所と短所があります

開業を心に決めた後、気になるのは会社にするのか(法人にするのか)、当面は個人で行くのかといった事です。

ともすれば、開業というとイコールで法人を作るといったイメージがあるかもしれませんが、個人事業主として事業をするのも一つの方法です。

そこで、本稿では個人事業主と法人での開業について比較してみます。なお、本稿では一般的な法人の形態である株式会社を想定して法人と称します。

■個人は簡単に開業できます

さて、個人事業主として開業する場合の最大のメリットは何よりも色々な手続きが簡単にす無といった点です。

また、個人事業として開始する場合にはどんな事業をするのも自由ですので、「パン屋さんで開業したけど、IT関係の事業の方が儲かりそうだからそっちに進出しよう」といった意思決定を邪魔するような規定も人もいません。(法人の場合、定款に定めた事業しかできないので定款変更をする必要がありますし、定款変更の場合株主総会の特別決議(普通決議よりも大変です)が必要となります。)

また、帳簿や決算書類についても法人と比較して簡易に行う事ができます。

個人事業として始めるのであれば、無料で使える会計ソフトで必要十分な機能を持っていますので、低コストかつ簡単に対応できます。

このように個人事業で開始する場合、一言で言うと『簡単』に起業できるのです。

■個人で受ける制限

と、このような簡単な個人事業ですが、やはり簡単な分だけ社会的な信用は一般的に法人と比較した場合にはやや劣るとされています。

また、大きな企業になってくると、「ウチは法人としか取引をしません」といったような制限を加えてくるケースもあります。

この面では、営業活動にとっては不利になります。(個人事業主と取引をした場合、その個人が入院したら依頼していた仕事がすべてストップする等の健康面のリスク等が出てくるので、大きな企業はリスクを避ける意味でも取引を嫌がる傾向があります。)

また、個人事業主は好むと好まざると、厚生年金に加入することができないので社会保障の面ではどうしても手薄となります。

もちろん、国民年金基金とか小規模企業共済などの公的な仕組みや、民間の保険等、様々な手段を用いればある程度は補完できますが、どうしても厚生年金をがっちりと掛けられる法人の役員と比較すると手薄になりがちなのです。

■法人の利点は

法人の利点は、個人の不利な面の裏返しで、法人の出資者は(ほとんどの場合社長個人ですが…)法人の負債から切り離されます。(個人の場合は事業の破綻は個人としてもその責任を問われます。)

つまり、法人が莫大な負債を抱えて倒産したとしても、法人の出資者はその負債の責任から切り離されているのです。

とはいえ、この考え方は『有限責任』といった考え方なのですが、我が国では有名無実化されています。

それは悪名高い連帯保証制度があり、金融機関から融資を受ける場合にはほとんどの場合、代表者は法人(会社)の債務について連帯保証を求められます。

とはいえ、一応、『経営者保証に関するガイドライン』といったモノも金融庁から出ているため、業況が良く、しっかりと法人と社長の財布を分けているような起業については経営者保証を求められないといった考え方もあります。

この辺は、事業が順調に進んでいった場合には使える手段ですので、その時々にお願いしている税理士さんや我々のようなコンサルタントに相談してみると良いと思います。

また、法人の場合、個人事業と比較して取引の機会が拡大する傾向があるため(法人のみが参加できる展示会等もあります)、業績の拡大には有利です。

また、経営者個人の家計を考えたときに、法人と個人二つの主体を使い分けて税金をデザインする余地があるので(社長個人がいくら役員報酬として受け取るかを決められるので)、ある程度の売り上げ規模となる法人を持っている場合には節税が可能です。

また、社会保険にも加入できるため、トータルとして生活設計をデザインしやすいといった面があります。

■法人で不利な点

一方、法人では会社の設立に手間や費用がどうしても発生します。

会社を設立するためには定款を作ってそれを登記しないといけませんし、そのための費用もばかになりません。

さらに、個人ではどのような事業でも簡単に進出できると書きましたが、法人ではこの定款に定められた事業しかできないので、新分野に進出する際には定款変更が必要となります。

また、会計帳簿等も面倒になるため、多くの場合、税理士に依頼することになります。(その方が経理担当者を雇用するよりも費用面で有利なケースが多いです。)

このように、法人で不利な点は一言でまとめると、「何かと費用や手間がかかる」といった事です。

■おススメは

それなので、本サイトでは最初は個人として開業することをおススメします。というのは、法人になるのはいつでもできるからです。(個人事業から法人になるのを法人成りと言います。)

また、現行の税法上では消費税は事業者単位の前々年度の売上で納税義務が発生するか否かが決まりますので、個人で2年、法人成りして2年と4年間消費税の納税義務の免除を受けられるといった特典があるのも大きいです。(税法上のお話はその時々に税理士さんや商工会等の支援機関に確認して下さい。)

そのため、どうしても出資を集めなければならないとか、法人で始めないと契約ができないといった事がない限り最初は個人事業として始めるのがお勧めです。(有限責任うんぬんは法人で始めても最初は恩恵を受けられませんので)

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