何でもできるという罠。なんでもできるあなたに頼むことは何にもありません

いきなりショッキングな書き出しですが、開業したての人で、なかなか軌道に乗らない人は「なんでもできます」って言う人が多いのです。

このように書くと「何でもできたほうがいいんじゃない?開業ナビの中の人、なに言ってんの?」といった声が聞こえてきそうですね。

でも、『何でもできる』事と『何でもやる』事は全然違うというのが本稿のお話です。

■何でもできる行政書士さん

例えば、あなたが行政書士として開業したとします。

行政書士と言うお仕事は実はすごく広い職域をもった仕事であり、行政機関に提出するような書類はほぼ全て扱う事ができます。

と言う事は、やる気さえあれば『相続の相談』から、『様々な分野の許認可』、『自動車関係の手続き』まで、書類が関わる業務ならばほとんどすべての事ができるのです。

「なるほどね、ほとんどすべての事ができるのなら、仕事を選ばずに間口を広くとると仕事が増えそうだ」と、この業種の説明から考えた、あなた。

その考えは開業当初では特に陥りやすい誤りです。

■何でもできる行政書士さんには

さて、あなたが、飲食店の許認可をお願いしたいと考えているとします。

この時に

  • 飲食店の許認可専門。斉藤行政書士事務所
  • どんなことでも対応します。ワタナベ行政書士事務所
  • の二つの行政書士事務所の案内を見たとします。その場合、どちらに仕事をお願いするでしょうか?

    また、あなたの大切な知人が飲食店をはじめたいと言っていたとします。そして、あなたは上の、斉藤行政書士とワタナベ行政書士を知っていたとします。

    さて、どちらの先生を紹介するでしょうか?

    ■何でもやサンには何の仕事もない

    さて、上のケースではほとんどの方は『飲食店の許認可専門』と謳っている斉藤行政書士にお願いすると思います。

    これは仮に、『どんなことでも対応します』と謳っているワタナベ行政書士の方が腕が良いとしても当てはまると思います。

    既に人間関係ができていれば『何でもやサン』でも仕事を依頼されることはあると思いますが、初めて仕事を頼もうかと考えている人からすると、専門を明確に打ち出してくれている人の方が依頼しやすいのです。

    厳しい言い方をすると、なんでも屋さんに頼む仕事は何にもないのです。

    なぜかと言うと、行政書士の先生の分野には競合が沢山いるので他の分野でも専門として打ち出している先生も当然います。

    すると、相続を考えている人には、相続の専門の先生が、自動車関係の手続きを考えている人には、自動車関係の手続きの専門の先生がいます。

    すると、何でもできますといった看板を掲げている先生は、どのような分野でも『見た目の』専門性に劣るため、仕事の確保が難しくなるのです。(本当の専門性がどうであれです)

    ■絞り込むのは勇気がいるけど

    また、あなたがお子さんをお医者さんに連れて行くとしたら、基本的には小児科に連れて行きますよね?

    では、『小児科』とだけ言っているお医者さんと、『内科、外科、胃腸科、耳鼻科…小児科』といった風に沢山の診療科を掲げていてその中に小児科とあるお医者さんだったらどちらに連れて行くでしょうか?

    やはり小児科とだけ謳っている先生の方が腕がよさそうに感じて、そちらにお願いしますよね?

    このように、あなたが顧客側に立って考えれば、適切に分野を絞り込んだ方が、受注の機会が増えることは理解できると思います。

    しかし、残念ながらサービスの提供側に回るとこの事を忘れてしまう方が多いのが現状なのです。

    ■自分は関係ない?

    「まあ、確かにそうだよね。でも自分は建築分野で開業するから関係ないや」と思った方。

    あなたの事業にも、絞り込みの余地がありますよね?

    また、パン屋さんでも、八百屋さんでも、ラーメン屋さんでも。ネイルサロンであっても絞り込みは可能です。

    どんな業種であっても、自分の競争相手は近くに存在しています。

    そして、あなたがやるべきことは、その競争相手ではなく、あなたのお店、あなたのサービスを選んでもらうための仕掛けを作る事です。

    そして、その仕掛けとしてとても効果的な方法が、あえて提供するサービスの領域を絞り込むことです。

    ■絞り込むと

    領域を絞り込むと、対象となるお客さんの数は少なくなります。しかし、絞り込めば絞り込む程、それにマッチするお客さんには刺さります。

    例えば、あなたが38歳で、職場の仲間と今夜食事会に行くとします。

    その時に、『38歳が職場の仲間と食事会に来ていく服のお店』なんてあったら、とりあえずはのぞいてみますよね?

    でも、こんな風に極端に尖った客層を狙うと、当然潜在顧客の数はとても少なくなります。(少なくとも、20代のお客さんはほとんど望めなくなりますからね)

    そのためどこまで絞り込んで考えるかがとても大切なのです。

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