はじめる前に利益を見積もろう―損益計画書を作ってみよう―

開業がうまく行けば確かに儲かります。そして、その儲かる度合いはおそらく組織人でいる時には想像もつかないくらい儲かる事でしょう。

しかし、それも計画があってこそです。また、実は失敗が運命付けられているような事業も存在しています。

「いやぁこれはどうやっても儲からないですよ…」といった悲しいお話を、したこともあります。

しかし、こういった失敗が運命付けられているような事業は、今回の損益計画を作ってみれば事前にある程度は分かります。

数字を作るのは、人によっては苦痛かもしれませんが、これからあなたがやろうと思っている事業の内容がはっきりとわかりますので、一緒に頑張ってみましょう。

■売上はどうなります?

まず、計画を作るに当たって最重要な売上という要素についてみていきます。

売上は『客単価×顧客数』で求められます。

  • さらに客数を細分化すると
  • 飲食店では特に次のような分解ができます

    客数=席数×回転率
    その他の分解方法としては、

    客数=ターゲット人口×認知率×来店率
    これはターゲットとしている人たちの何%があなたの事業を知っていて、知っている人の何%が来店するかを見積もる考え方です。

    その他には来店客の属性に注目して

    客数=新規顧客数+(既存顧客数×来店率)
    と分解する方法があります。

  • 客単価の方も細分化します
  • 客単価は

    客単価=平均購買点数×商品単価
    と分解できますので、これらの掛け算で売上高を見積もります。

    (分解して考えると説得力が出てきますよ。)

    ■売上を計画する

    例えば、喫茶店を開業しようとしているとします。

    この場合、「客席が10席で、滞在時間が大体30分程度。特に飲食はやらずに昼時は…」などと考えていくと、売上が結構な精度で予測できますよね?

    そして、予測した売上高を損益計算表に記載するのです。

    なお、お気づきかもしれませんが、飲食店では席数と回転率、客単価でほとんど売上の上限が決まります。(どんなに行列ができても、席数以上にお客さんは入れませんからね。)

    最初にふれた、失敗が運命付けられている事業は、この売上の上限近くまで売上高が上がらないと収支がトントンにならないような事業が該当します。

    家賃が高すぎるとか、人を雇いすぎるとか、こだわり過ぎて原価率が高すぎるなんていう事業はこうした事に陥りやすいのですが、計画をたてれば問題が一目でわかりますので、事前に明らかな失敗を防ぐ意味でもこの計画は有用です。

    ■売上原価

    さて、売上を上げるためには商品や原材料を仕入れる必要があります。

    例えば、パン屋さんだったら小麦粉やミルク、バターなど、八百屋さんだったら大根やニンジンですね。

    そしてこの売上原価ですが、大体業種別に目安が出ているのでそれを利用するとよいでしょう。

    今回考えていく喫茶店は大体32.5%ぐらいが原価率になります。

    ■いわゆる経費を考える

    そのうえで、いわゆる経費を考えます。こちらは固定的に発生する経費を考えるとわかりやすいので、

    例えば、

    人件費として2人雇って40万円

    家賃が月15万円

    開業費で1000万円調達するから、利息は月1万円ぐらいになって…

    店舗の水道光熱費とか備品代とかが月5万円かかって

    といった形で見積もります。

    ■利益を計算してみましょう

    そうすると、売上と売上原価(原価率)、大まかな経費が出るので現時点であなたの計画している事業が儲かるかどうかがわかります。

    今回は、

    売上高80万円

    客単価:800円
    客数:1,000人(営業日25日、一日40人)
    売上原価26万円(原価率32.5%)

    経費51万円

    人件費:40万円
    家賃:15万円
    支払利息:1万円
    その他:5万円
    となるので、月次の利益は

    80万円-26万円-51万円=3万円

    の3万円になります。

    ■これでは厳しい

    さて、実際に計画を作ってみた結果どうでしょうか?正直月3万円の利益だと、あなたの生活費が出ませんし、開業費の返済もできませんよね?

    そのため、もしこのような事業の見通しになったのであればもう一度計画を見直します。

    ■計画を見直してみる

    例えば、月の売上を100万円まで伸ばし、人の雇い方を工夫して人件費を30万円まで圧縮してみたらどうなるでしょうか?

    この場合

    月の売上100万円

    客単価:1,000円
    対策:もう一品売る工夫をして客単価を伸ばす

    客数:1,000人(営業日25日、一日40人)
    売上原価32.5万円(原価率32.5%)

    経費41万円

    人件費:30万円
    家賃:15万円
    支払利息:1万円
    その他:5万円
    となるので、月次の利益は

    100万円-32.5万円-41万円=26.5万円

    となります。ここまでくればもう一息ですね。

    ■計画段階で大きく黒字でないと厳しい

    さて、この数値ではまだまだ不足しています。というのは、事業主の生活費として最低でも20万円は考えないといけませんし、残念ながら計画というものはほとんどが下振れするモノなのです。

    それなので、この計画段階で十分な収益を(要するに儲かる計画を)作っておく必要があります。

    ここで、何度計画しても赤字になったり、極めて薄い利幅しか得られないのであれば、もう一度ゼロベースで考え直した方が良いでしょう。

    なお、計画を良くするために売上を多く見込むのは簡単です。しかし、売上を大きくするためには、客数と客単価に根拠が必要です。

    そういった制約条件の中で何度も計画を立ててみてくださいね。

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