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ワタミの介護事業売却からもう一度考える、色んな利益概念の事

ワタミ

ワタミ社が介護事業を売却すると報道されています。

 介護事業に参入したワタミは、首都圏を中心に介護付きの有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅事業を展開している。だが、主力である居酒屋チェーン「和民」で売り上げが伸び悩んでいるほか、介護事業も苦戦している。経営合理化の一環として、不振の介護事業の売却を検討しているものとみられる。2015年9月10日朝日新聞

といった風に報道されており、本業に関係のない事業を売却し、そのキャッシュを本業に投資すると言っているのです。

本稿ではこの報道を元に利益という概念について考えていきたいと思います。
  • 特別○○
さて、事業を売却すると言っていますが、事業を譲渡する際には、その事業に用いる資産についても同時に売却することとなります。(債務を移転する場合には債権者の同意が必要)

その場合、介護事業の持っている資産の簿価(帳簿に記載されている価格)よりも売却金額の方が大きければ特別利益を、そうでなければ特別損失が発生します。

と、利益とか損失といった言葉が出てきましたが、どうして特別○○と言うのでしょうか?別に利益や損失が出たとしても、そういった利益とか損失にワザワザ名前を付ける必要がどこにあるのでしょうか。
  • 利益には種類がある
さて、会社の経営成績を示す損益計算書を見る人は、会社が儲かっているのかどうかを見たいので、損益計算書を見ます。

A社は500万円の利益を出していて、B社は5,000万円の利益だった。なお、資産規模はA社もB社もほぼ同様である。

と言った情報を入手した際、単純に「B社の方が利益が大きいから良い経営であったという事ができるのでしょうか?」

この疑問に答えるために利益には種類があるのです。

例えば、A社は、本業の儲けを示す営業利益で700万円、B社は営業利益が100万円だったとします。

また、経常的なもうけを示す経常利益ではA社は500万円、B社は50万円。

その後、B社は持っていた土地建物を売却していたので特別利益4,950万円をあげていたとします。

その結果、A社の最終的な損益は500万円の利益、B社は5,000万円の利益でした。

このように、最終的な利益だけではなく、営業利益や経常利益まで示すと、印象が変わるはずです。

この例ではB社には毎期継続的に利益を生み出す力があるわけではなく、たまたま土地建物を売却していたから5,000万円もの利益を生み出していたという事がわかります。

そして、このような、時々しか発生しないような利益を特別利益とよび、損益計算書上もそれが判るように表示されるのです。
  • ワタミの場合
ワタミ社は、ここ数年赤字が続いているとの事ですので、利益と現金は短期的には直接的には結び付かないと言っても、数期の赤字によって現金残高に悪影響が出ているはずです。

今回の事業の売却で、特別利益を計上できればそれに越したことはないと思いますが、仮に特別損失が生じたとしても実施する価値はあるかもしれません。

というのは、少なくとも現金は獲得することができるからです。そして、現金があれば不採算店舗の閉鎖や場合によっては退職勧奨を実施し、人件費の圧縮などを大胆に進めることが可能となります.

(もっとも、こういった方策は社内に蓄積された目に見えない資産を損なう傾向があるため、望ましくない結果をもたらすこともあります。)

このように、利益と一言で言っても、いろいろな考え方があるのです。一度損益計算書のひな型を入手して眺めてみると色々な発見があって面白いですよ。

なお、本記事には特定の企業を応援する意図も、批判する意図もございません。

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