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ドコモの割安プラン導入から考える、最大手企業の経営戦略(寄稿)

携帯
NTTドコモが通話定額プランの割安版の導入を検討しているとの報道がありました。報道では
 NTTドコモが、通話定額プラン「カケホーダイ」の割安版を近く導入する検討に着手したことが14日、分かった。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)6s」と「6sプラス」の発売を控え、すでにKDDIとソフトバンクは月額1000円安い新プランを開始すると発表している。新機種商戦が料金引き下げの呼び水となった形だ。2015年9月15日SankeiBiz
とされており、料金引き下げについて検討されているようです。

今回は、業界のリーダーであるNTTドコモが実施する価格引き下げを題材に業界リーダーが採るべき戦略の定石について考えてみたいと思います。
  • リーダーのみが採れる戦略がある
さて、市場のリーダー的企業といったモノがあります。基本的には市場シェアの最も高い企業がそのリーダーに該当するのですが、携帯電話業界ではNTTドコモが該当します。

そして、このリーダー的企業はいわゆる横綱相撲と言った、競合他社とは一線を画した戦略を採用することができますし、また、そうすべきであると言われています。

ビジネスの常識からするとちょっと意外に思われるかもしれませんが、これらの戦略はいわゆるセオリーなのです。
  • 差別化?むしろ逆です
さて、経営学をかじった人は「差別化差別化」と呪文のように言われる事を耳にしたことがあると思います。これは一般的には正しい戦略で、「大手企業と同じものを売っていたら勝負にならない」といった事実から生み出された戦略なのです。

しかし、逆に言うと、リーダー的企業にとっては差別化ではなく『同質化』するのが最適解となります。

例えば、食パン業界で考えてみます。競合がユニークなパンを発売して市場シェアを奪いに来た場合、最大手の企業はどのような対応をすべきでしょうか?答えは、似たような製品を市場に投入するといった事になります。

意外ですよね?でも、最大手の企業にとっては極めて合理的な戦略なのです。というのは、最大手企業は競合と比較して、販路であったり、製造ノウハウであったり、資金力であったりといった、経営資源に優位性を持っています。

そのため、同じモノを作るのならば、より低コストで、より広い範囲に届けることができるのです。このため、最大手の企業はあえて危ない橋を渡らない。保守的な戦略を採ることが多いのです。
  • 市場シェア?100%は目指しませんよ
また、市場シェアの拡大が非常に有効な方策であるように語られる事が多いのですが、最大手企業にとっては市場シェアの最大化は志向しません。

というのは、市場シェアと一言で言っても、『美味しくない』お客様も混ざった概念です。例えば、市場シェアを最大化しようとして、販路網を構築する場合であっても、ある程度以上の市場シェアを求める場合には、人口が少なくてあまり採算が良くないような場所にまで出店していく必要が出てきます。

また、良く知られたパレートの法則のように、利益の8割は上位2割の顧客によってもたらされるといった経験則があります。そのため、市場シェアを必要以上に拡大させようとすると、努力の割に成果が少なくなってしまうといった結果をもたらしがちです。こういった事には、収穫逓減の法則が働くのですね。
  • 携帯電話利用者が増えれば自社の利益です
さて、最大シェアを持っている最大手企業は最大の経営資源を持っています。そのため、通常では、市場自体の拡大は最大手企業の量的拡大を意味します。(例えば市場規模が100億円で市場シェア5割を握っている企業があったとき、市場規模が200億となっても、基本的には市場シェア5割を握っている企業の市場シェアはそのままです。そのため、単純に売上高が増大します。)

そのため、携帯電話市場の拡大はそのまま自社の利益となります。だから、競合他社も、市場拡大を図るための同士であると捉えることができるのです。
  • 価格競争はダメ、絶対。
と、ここまで直観とは異なる『市場リーダーの戦略』を見てきましたが、価格競争は決してリーダーから仕掛けてはならないといったセオリーもあります。

最大手企業が価格競争に打って出ると、その市場自体が価格競争の激しい市場となってしまう為、誰も適正な利潤を得ることができなくなってしまいます。(だから、かつてマクドナルド社が100円を切るようなハンバーガーを販売したのは悪手であると言われているのです。)

そのため、基本的にはNTTドコモから価格競争はしないと考えられます。(それがセオリーですからね。)

報道では
KDDIとソフトバンクは、新プランをアイフォーン新機種の予約開始直前の11日に発表した。いずれも無料通話時間は1回につき5分間まで(5分以降は30秒20円)だが、毎月の料金を1700円に抑えた。かねて割高感が指摘される定額プランの選択肢を広げることで、既存加入者の囲い込みを図る。危機感を抱いたドコモは、同様のプラン導入を検討。2015年9月15日SankeiBiz
とあるように、競争相手が価格競争を仕掛けてきたため、それに対する対抗策を採ったという風に言われています。

携帯電話業界は既存顧客の囲い込みという鉄則を軽視しているようですが、それ以外はセオリー通りで動いているのですね。
と、競争地位による経営戦略のセオリーを取り上げました。上で解説したのはリーダーの戦略定石です。しかし、リーダー以外には、徹底した価格競争を仕掛けるといった戦略が有効に機能します。

もっとも我々消費者としては、最大手企業の戦略に付き合う筋合いはありませんが。

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