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5日以上に支給という骨抜き要件があるがゆえに、父親の育児休暇への助成金は効果が高いかもしれない(寄稿)

育児

育児休業。子育てにしっかりと参加したいと願っている父親は多いと思いますが、制度はあれどなかなか活用できない仕組ではないでしょうか?『取得率は2.3%である。』と言われている状況では、育児休暇の取得といった選択肢自体が当初から除外されているようにも感じられます。

そのような状況を打開しようと、。厚生労働省が支援制度の拡充に乗り出すとの事です。報道では
厚生労働省は育児のため、いったん仕事を離れる人々の支援制度を大幅に拡充する。

中略

育児休業の制度を使う男性は少なく、配偶者が出産した男性全体の2.3%にとどまる。そこで新制度では助成金で企業の背中を押す。1人目の従業員が育休をとれば30万円、2~5人目は15万円を企業に支払う。6人目以降は助成しない。2015年9月23日 日経新聞
とされており、助成金という金銭的なインセンティブを支給することで育児休暇取得率を向上させていこうと考えているようです。
  • 問題は金銭面か
さて、このような取り組みに水を差すようで非常に心苦しいのですが、金銭的なインセンティブが与えられたからと言っても、この状況は改善しないと考えられます。

というのは、少し古いデータですが、厚生労働省が次のような調査をまとめています。
男性の育児休業取得率は、低調に推移しており目立った増加は見られない。

中略

男性が育児休業を取得できた理由で最も多いのは、「日頃から休暇を取得しやすい職場だっ
たから(22.0%)」。次いで、「職場が育児休業制度を取得しやすい雰囲気だったから(17.6%)」
となっている
「平成25年の育児休業制度等に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(厚生労働省)より筆者抜粋
この事は職業人としての実感に近いのではないでしょうか?言い換えれば「育児休業を取りやすそうな雰囲気があれば、育児休業取得も考えられるけれども…」といった『空気』が育児休業取得を左右しているのではという事です。

空気が変わらず、いつまでも育児休業を取っている男性が例外扱いされていると、なかなか育児休業取得に踏み切れないと考えられます。

こういうのを『場の理論』と言います。組織人は組織文化に非常に大きな影響を受けるのです。
  • 空気を変える支援を
同調圧力という言葉をご存知でしょうか?その組織の支配的な『空気』に同調することを明示的、非明示的問わずに求められるといった事です。

そして、職場の空気が「男性が育児休暇を取るって!?」的な反応が予想されるような職場では、いくら制度を整備し、また、「育児休暇は性別に関係なく取得してくださいね」などと言っても、実際に育児休暇の取得率が向上するとは思えません。

(ご自身に当てはめてみてください。育児休暇を取得する事に対して、直接言われないにしても、好奇の目で見られたり、ネガティブな反応がありそうだと予測できる状況で育児休暇の取得に踏み切れるでしょうか?)

そのため、こういった組織文化を持っている組織に対しては、そもそも育児休暇を取得することが正当な権利であり、育児休暇を組織として取得できるような体制作りを行う事が、結果として業績向上へつながるとの認識を持ってもらう事の方が近道かもしれません。

育児休暇を気兼ねなくとれるような組織であれば、従業員の定着率の向上も図れますし、誰かが休暇を取っても、バックアップできるような体制を構築できれば組織全体のパフォーマンスも向上します。
  • 5日以上という絶妙なライン
さて、ここで助成金の支給要件ですが面白い事が言われています。報道では、
対象は過去3年間に男性の育休取得者がいない企業。男性従業員が配偶者の出産から8週間以内に5日以上の育休をとれば助成金を出す。2015年9月23日日経新聞
とされているので、5日以上で助成金が支給されるのです。

正直なところ、子育ての経験上5日の休業で何ができるのかと問われると、「何もできない」といったのが答えですが、(意地悪な見方では、育児休業を取得したといった名目を作りたいがための制度であるようにも感じられます。)気軽に取得できるといった意味ではいいのかもしれません。

労働者の権利だとかを声高に叫んでも、実は組織内でけん制しあい、同調圧力をお互いに掛け合っているような現状では、正論が組織の文化を変えることは難しいと考えられます。

しかし、5日間だけにしても育児休業を取得することが組織にとって有利であるとの認識が広がっていけば、組織文化が変わる可能性もあるのです。

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